T.時代別に見るアイテムの傾向

1947〜1957

− ディオールをはじめとしたオートクチュール・デザイナーの全盛時代 −


長く続いた戦争で、装う喜びを奪われてきた女性たちに、再び自由が戻ってきました。着る楽しみを求める彼女たちに向けて、華やかなファッションがいっせいに花咲き始めたのです。
1947年は、ファッションの歴史にとってエポック・メーキングな年でした。
クリスチャン・ディオールが”ニュールック”という新しいシルエットを発表し、人々を驚かせたのです。
ニュールックとは、それまで何十年も続いてきたスリムで直線的なシルエットをガラッと打ち崩し、豊かな胸と蜂のように細いウエストラインを再び強調したものでした。コルセットやブラジャーがまた必要になりました。
ボトムは、戦時中の節約ムードに真っ向から挑戦するように、布地をたっぷり使ったすそ幅の広い、フレアーのロングスカート。細いウエストから花のように広がったラインは、当時の人々にとって新鮮なショックでした。
女性らしさが復活したのです。
それ以降は、ディオールを中心とするオートクチュールのデザイナーたちが次々に打ち出す新しいライン(シルエット)が、流行をリードしていきました。
この時期はラインの時代とも呼ばれています。
1952年のチューリップライン、1954年のHライン、1955年のAライン、Yライン、1956年のアローライン、マグネットライン、1957年のフリーライン、スピンドルライン・・・。
シーズンごとにめまぐるしく変化していきます。
素材においても、ラスティックで質素なものから、長い間使用されることの少なかったレースの復活、上質薄手ウールの再登場、カラフルなプリントのオンパレードと、女性の美しさを演出するものに代ります。
合成化学繊維の工業生産が本格化してきたのもこの頃です。

アロー・ラインのスーツ。矢のように真っ直ぐというライン。なだらかな肩と直線的な袖、ポイントはトップにあります。

ニュールック。コルセットで締めて強調したウエストと、ビッグなフレアースカート。ペプラム使いがポイントです。
マグネット・ラインのドレス。U字型に肩・腰に丸みを持たせて、ほっそりとまとめています。サッシュ使いでやさしさを表現。 スピンドル・ラインのコート。中央部でふくらみをもたせ、上下ですぼまった紡錘型のライン。柔らかな丸みのあるシルエットです。


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