T.時代別に見るアイテムの傾向

1900 〜 1925

− 第一次世界大戦をはさんでファッションは一変する −


20世紀初頭、産業革命による好景気と経済安定によって、上流階級の人々はベル・エポックと呼ばれる良き時代を享受していました。
交通や機械文明の発達などをきっかけに、社会、政治、文化、風俗とすべての面で大きく変動しつつ、現代へとつながる道を開いた時代だったといえましょう。
しかし、初頭の10年間のファッションは、まだ19世紀風のスタイルが継続していました。コルセットで極端に締めたウェスト、丸いヒップを後ろに突き出し、長いスカートの裾を引きずりながら、レースやリボンで過剰に装飾された服にとじ込められながら、女性たちは”可愛い女”を演じつつけていたのです。
1910年頃、当時評判をよんだディアギレフによるロシアバレーのパリ公演に影響をうけて、東洋のエキゾチシズムを感じさせるファッションが登場してきます。
バスト、ウエストをゆったりさせてコルセットから女性を開放し、初めて女性を直線的なシルエットでとらえた新しいものでした。
しかし、今度は裾幅が非常に狭められました。ペッグトップスカートやストレートのチュニックスカートです。不自然な姿で歩きにくそうな女性の姿があちこちで見られました。
そんな女性たちのファッションを大きく変えたのが、第1次世界大戦(1914〜1918)です。
この頃から女性の社会進出が活発になり、動きやすい活動的な服が求められました。
これまでの様に女性特有のボディラインを不自然に協調する事のない自然なシルエット。余分な装飾性をはぶいた単純なスタイル。ヘムラインは徐々に短くなり、ヒザ丈にまで達するほどでした。
短くカットされたヘアースタイルともあいまって、ボーイッシュルックと呼ばれました。

1900年代初期のギブソン・ガールスタイル。細く締めつけたウェストライン、長いスカート丈は18世紀からの継続。

ベル・エポック期の東洋風ファッション。トップはゆとりがあるが、極端に細くなったすそ幅は歩きにくいものでした。凝った刺繍の縁取りが多く見られました。
ボーイッシュルック。ウエストフリーの中性的なシルエット。ウエストポイントは低くなり、ヘムラインは徐々に短くなります。


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