T.時代別に見るアイテムの傾向

1926 〜 1935

− ギャルソンヌとスリム&ロングの時代 −

20年代後半、チャールストンやフォックストロットなど、スピード感のあるジャズのリズムに人々が踊り狂ったザ・ヤング・ブライト・トゥエンティ (若く明るい20年代)。生き生きした世相を反映した、ビビットなファッションがあふれていました。
現在話題となっているシャネルが若手デザイナーとして活躍した時代だけに、今、当時の服を見ても少しも古臭く感じないデザインがいっぱい。その頃、最も大きな影響を与えたのが25年パリで開催された国際装飾美術展。その様式はアール・デコとして美術を始め美術・産業デザイン、ファッションへと波及していきました。直線的で体に自然に沿ったチューブラインとバイヤスやプリーツを生かした動きのあるキネティック(活動的)シルエットの調和。ローウエストで丈の短いヘムライン。直線と曲線を組合わせたシンプルで機能的なスタイルです。
男性の社会へ徐々に進出しつつある女性の、生物にとらわれない自由なボディの開放を現したこのファッションは、ギャルソンヌ (男の子のような女の子) スタイルとも呼ばれています。
1930年代に入ると大恐慌の経済不況が世界を襲いました。沈痛した暗い雰囲気の中で人々が求めたのはノスタルジーです。成熟した女性の美が再び注目され始め、マレーネ・デートリッヒやグレタ・ガルボといったスクリーンの美人女優たちが、ファッションをリードしていきました。全体的にソフトな流線型のラインが主流となり、ウエストラインは自然な位置へと戻ってきました。同時にヘムラインが少しずつ長くなり、スリム&ロングシルエットを形作ります。ヘムにフレアーやマチなどのディテールが目立ちます。

ギャルソンヌ・ルック。シャネルタイプのスーツ。デイタイムにはジャージィ素材が多く使われ始めました。

スリム&ロングなシルエット。ウエストは自然の位置に戻ってきました。スカートのスソにマチやフレアーのディテール使いで。
アール・デコ調のアフタヌーンドレス。直線と曲線を調和をとりながら組み合わせたライン。バイヤスカットが多用されています。



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