T.時代別に見るアイテムの傾向

1936 〜 1949

− 戦前の回顧調ロマンチック・ファッション、戦後のボールドルックの流行 −


1936年から1946年までは、第2次世界大戦 (39〜45年) を間にはさんで、人々の生活から華やかなファッションが影をひそめた時代ともいえます。1930年代後半になると、世界的な長引く不況のために人々の疲労感はつのり、その上戦争開始前の重苦しいムードが充満してきます。そんな現実から逃避するかのように、ファッションはますますノスタルジックでロマンチックな方向へ傾いていきます。
スリム&ロングなシルエットを基調に、ソフトなフェミニン感覚のものが中心となっていましたが、その一方で小粋な硬派のファッションとしてテーラード・スーツが少しずつ現れてきました。ウエストマークの動きも出てきましたが、相対的には大胆なものが少なくなり、次第に落ち着いてきたといえます。
やがて第2次世界大戦の勃発によってパリのファッション界は閉ざされ、ファッション不毛の時代が到来します。物質不足により布地を節約するという、政策上、経済上の理由ともあいまって、スリムで短いスタイル、余分な装飾性を除いた実用性に重点を置いたデザインが中心になってきたのは当然の流れといえます。
と同時に、戦時下という非常事態にあって、男性に劣らない活動的な服の必要性が増加してきたのです。
そこで主流になったのが、マンテーラード(紳士仕立て)のスーツやドレスです。イセやギャザーなどの立体的なディテールと肩パッドによって表現された幅広く誇張した四角い肩線が特徴。スカートは動きやすさを考えた、プリーツを中心としたストレートラインの短いものとなっています。
このように、パッドで肩線をいからせたミリタリータイプのスタイルは、ボールドルックと呼ばれ流行しました。

マンテーラード (紳士仕立て) のスーツ。ベルトやディテール使いでウエストマーク。硬派のシックさの表現です。

立体ディテールとたっぷり入れたパッドで、肩を強調したマニッシュなコート。



スリム&ロングなロマンチック・ドレス。プリーツ、フレアー、ギャザーでフェミニンに。


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